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社用車を経費にする条件 4年落ち中古車の節税と注意点 2026
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社用車を経費にする条件 4年落ち中古車の節税と注意点 2026

「車を会社で買えば節税になる」とよく言われる。半分は正しく、半分は誤解だ。まず結論から。

社用車は買った年に全額経費にはならない。分割して経費にするのが原則。ただし4年落ち以上の中古車なら、条件がそろえば1年で全額経費にできる。

そしてもう1つ、見落とされがちな前提がある。私的にも使う車は、その分を経費から外す必要があるということだ。ここを外すと、税務調査で経費を否認されるだけでなく、社長個人の税金まで増える。

この記事は、社長が「自社は車をどう買い、どこまで経費にできるか」をその日のうちに判断できるよう、国税庁の情報にもとづいて整理した。

ℹ️

情報の時点

本記事は2026年7月時点の情報です。耐用年数・中古資産の計算方法は国税庁「No.5404 中古資産の耐用年数」(令和7年4月1日現在法令等)ほかの公表情報で確認しています。実際の取扱いは車の使い方・会社の状況で変わるので、購入前に必ず顧問税理士にご確認ください。


社用車は「買った年に全額経費」にはならない

車は何年かに分けて少しずつ経費にする(減価償却)。何年に分けるかは、車の種類ごとに決まっている。

この「何年に分けるか」が耐用年数だ。国税庁の耐用年数表では、一般用の車は次のように決まっている。

車の種類耐用年数
普通自動車(下記以外の一般用)6年
軽自動車(総排気量0.66リットル以下の小型車)4年
貨物自動車(ダンプ式)4年
貨物自動車(ダンプ式以外)5年
2輪・3輪自動車(バイク)3年

出典:国税庁「主な減価償却資産の耐用年数(車両・運搬具)

つまり300万円の新車(普通車)を買っても、その年の経費は300万円ではない。6年に分けて経費にしていく。

経費になるスピードは「法人か個人か」で違う

同じ車でも、法人は早く、個人事業主はゆっくり経費になるのが原則。

税務署に届出をしていない場合、経費への配分方法(償却方法)は次のようになる。

  • 法人:車は定率法が原則。最初の年ほど大きく経費になる
  • 個人事業主定額法が原則。毎年ほぼ同じ額を経費にする

法人が新車(耐用年数6年)を期首に300万円で買った場合、初年度の経費は定率法でおよそ100万円(償却率0.333)。定額法なら約50万円(償却率0.167)。同じ車でも初年度の経費は2倍近く変わる。


4年落ち中古車が「節税」と言われる理由

中古車は残りの寿命が短いとみなされるため、経費にできるスピードが上がる。4年落ちの普通車は耐用年数が2年になり、条件がそろえば1年で全額経費にできる。

中古車の耐用年数は、次の式で計算する(簡便法)。

  • 耐用年数 =(法定耐用年数 − 経過年数)+ 経過年数 × 20%
  • 1年未満の端数は切り捨て。計算結果が2年未満なら2年

4年落ちの普通車で計算してみる。

  1. 法定耐用年数は6年
  2. 経過年数は4年
  3. (6 − 4)+ 4 × 20% = 2.8年
  4. 端数を切り捨てて → 2年

耐用年数2年の定率法の償却率は1.000。つまり1年で100%経費になる。これが「4年落ちの中古車が節税の定番」と言われる理由だ。

ただし、思ったほど効かない場合が3つある

「4年落ちを買えば必ず全額経費」ではない。次の3つで結果が大きく変わる。

① 決算間際に買うと、ほとんど経費にならない

経費にできる金額は、使い始めた月から決算日までの月数で割り算される(1か月未満は1か月として数える)。

  • 期首(決算月の翌月)に使い始めた → 12か月分=全額
  • 決算月に使い始めた → 12分の1だけ

300万円の4年落ち中古車を決算月に納車すると、その期の経費は約25万円。「決算対策で駆け込みで買う」が最も効かないパターンだ。買うなら期首に近いほど効く。

② 買っただけでは駄目。使い始めていること

経費への計上は「納車されて事業に使い始めた日」から。契約・支払いだけ済ませて期末までに納車されていなければ、その期の経費にはならない。人気車種は納期が数か月かかることもあるので、決算月から逆算して確認しておく。

③ 大きな修理・改造をすると、この計算が使えない

購入後に手を入れた金額(資本的支出)がその中古車の取得価額の50%を超えると、簡便法での計算ができず、法定耐用年数(普通車なら6年)になる。買ってすぐ大がかりな架装や修理をする予定があるなら要注意だ。

⚠️

そもそも「節税」ではなく「税金の後払い」

中古車で経費を前倒ししても、税金が消えてなくなるわけではありません。翌年以降は経費にできる分が減り、売却時に帳簿価額より高く売れれば、その差額に税金がかかります。手元のお金を減らして税金を先送りしているのが実態です。「税金を減らすため」に必要のない車を買うと、資金繰りだけが悪化します。節税全体の考え方は「経営者の節税対策の基本」も参考にしてください。


私的にも使う車は「按分」が必要

仕事とプライベートの両方で使う車は、仕事で使う割合の分だけが経費。ここが税務調査で最も突かれる。

法人と個人事業主で、外し方の理屈が違う。

法人(社用車)個人事業主
考え方私的に使った分は、社長への**給与(経済的利益)**とみなされる私的に使った分は、そもそも経費にならない(家事関連費)
何が起きるか会社の経費が否認され、さらに社長個人の所得税・住民税・社会保険料も増える経費が否認され、所得税・住民税が増える
必要なこと使用ルールを決め、使用実績を記録する事業で使う割合を、記録にもとづいて説明できるようにする

個人事業主の場合、経費にできるのは「業務の遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる金額」に限られる(国税庁「No.2210 必要経費の計上時期」)。感覚での「だいたい8割」では通らない。

割合はどう決めるか

最も説明しやすいのは走行距離。次に使用日数。

  1. 運転記録(日付・行き先・目的・距離)を1〜3か月つける
  2. 事業分の距離 ÷ 総距離 で割合を出す
  3. その割合を、車両本体・ガソリン・保険・駐車場などに一律で当てる
  4. 記録は保存し、使い方が変わったら見直す

例:月間1,000kmのうち事業分700km → 事業割合70%。年間の車関連費用が100万円なら70万円が経費。

⚠️

「法人名義だから全額経費」は通らない

車の名義が会社でも、実際に社長が私用で使っていれば、その分は経費から外れます。国税不服審判所では、役員が社有車を無償で専属的に使っていた事案について、車の取得価額を耐用年数で割った金額や保険料などをもとに、役員への給与として金額を認定した例があります(法人税法上、役員給与には現物や経済的利益も含まれるため)。土日は自宅車庫で家族が使っている、という状態は特に危険です。


車にかかる費用は、どの科目で経費にするか

車両本体は減価償却、それ以外の維持費はその年の経費。事業割合をかけるのは全部同じ。

費用主な勘定科目経費のしかた
車両本体の購入代金車両運搬具耐用年数に応じて分割(減価償却)
ガソリン代車両費・旅費交通費その年の経費
自動車税・重量税租税公課その年の経費
自賠責・任意保険保険料その年の経費
車検・整備・タイヤ車両費・修繕費その年の経費(大きな改造は資産計上)
駐車場代地代家賃その年の経費
高速代・ETC旅費交通費その年の経費
ローンの利息支払利息その年の経費(元本は経費にならない)

ローンの元本は経費にならない点は間違いが多い。経費になるのは減価償却費と利息だけだ。日常の経費判断は「これって経費になる?」、記帳の基本は「経理・帳簿づけの基本」も参考になる。


買う・リース・個人名義、どれを選ぶか

「全額経費にしたい」ならリース、「早く大きく経費にしたい」なら中古車購入。ただし判断軸は税金より資金繰り。

現金・ローンで購入リース
経費のしかた減価償却+維持費原則、支払リース料を期間で按分して経費
初年度の経費中古車なら大きい支払った分だけ(平準的)
手元資金出ていく(ローンなら分割)出ていきにくい
資産計上あり所有権移転外リースは資産計上のうえリース期間定額法が原則
中古車の特例使える少額の特例や特別償却は使えない
向いている会社利益が大きく出た年がある会社経費を毎年一定にしたい会社

リースは「経理が楽・毎月定額」という点が実務的なメリットで、税金が有利になるとは限らない。所有権移転外リース取引の詳細は国税庁「No.5704 所有権移転外リース取引」(令和7年4月1日現在法令等)を参照。

💡

社長個人の名義のままでもよい場合

既に個人で持っている車を仕事に使うなら、無理に会社名義へ移さず、会社と社長で使用契約を結び、走行距離に応じて会社が負担する方法もあります。名義変更のコストがかからず、私的利用の線引きも明確になります。どちらが有利かは報酬額や使用実態で変わるので、役員報酬全体の設計(「役員報酬の決め方」)と合わせて税理士に相談してください。

⚠️

安い中古車を買う場合の注意(2026年の改正論点)

取得価額が少額の資産は、中小企業向けに一括で経費にできる特例があります。国税庁の公表(令和7年4月1日現在)では30万円未満・年間合計300万円までですが、令和8年度税制改正大綱では40万円未満への引上げ・従業員数要件の見直し・適用期限の3年延長が示されています(財務省「令和8年度税制改正の大綱」)。適用時期や自社が対象かは必ず税理士に確認してください。


税務調査で見られる3点と、残しておく記録

調査で問われるのは、結局この3つに集約される。

  1. その車は本当に仕事で使っているか(使用実態)
  2. 私的利用分をきちんと外しているか(按分の根拠)
  3. 事業の規模に対して不相応でないか(高額車の必要性)

備えとして残しておくべき記録は次の4つ。難しいものはない。

  • 運転記録:日付・行き先・目的・距離(アプリやカレンダーで十分)
  • 社用車管理規程:誰が・どんな用途で使えるか、私的利用の可否と負担ルール
  • 保管場所:会社の駐車場に置く。自宅車庫なら使用ルールを明文化する
  • 請求書・車検証・ローン契約書:取得価額と経過年数(初度登録年月)が分かる書類

とくに中古車は、初度登録年月が耐用年数の計算根拠になる。車検証は必ず保管しておく。調査全般の備えは「税務調査に備える」も参考にしてほしい。


よくある質問(FAQ)

Q1: 高級車やスポーツカーでも経費になりますか?

車種そのものを理由に経費が否認されるわけではありません。判断されるのはあくまで「事業に使っているか」です。ただし、事業規模に対して不相応な車は「本当に事業で必要か」を厳しく確認されます。取引先訪問に使うなど、業務上の必要性と使用実績を説明できるようにしておくことが前提です。

Q2: 4年落ちなら、いつ買っても1年で全額経費になりますか?

いいえ。経費にできる金額は使い始めた月から決算日までの月数で按分されます。決算月の納車なら12分の1程度しか経費になりません。全額を1年で落としたいなら、期首に近いタイミングで納車まで完了している必要があります。

Q3: 4年落ちより古い車のほうが有利ですか?

耐用年数の計算結果が2年未満でも2年が下限なので、5年落ちでも10年落ちでも耐用年数は2年で同じです。それ以上古くしても税務上の効果は変わらず、故障リスクや売却価値のほうが問題になります。

Q4: 社用車を売ったときはどうなりますか?

法人は売却額と帳簿価額の差額が利益または損失になります。早く償却した車は帳簿価額が小さいため、売却時に利益が出て課税されることが多くなります。買うときだけでなく、出口までを見て判断してください。

Q5: 通勤にだけ使う車は経費になりますか?

自家用車での通勤は、原則として事業のための使用とは区別して考えます。役員・従業員の通勤に対しては、一定額まで所得税がかからない通勤手当の仕組みがあるため、車両を経費化するより通勤手当で対応するほうが整理しやすいケースが多いです。自社の実態に合わせて税理士に確認してください。

Q6: 事業割合は何%までなら問題ありませんか?

「何%までなら安全」という基準はありません。記録にもとづいて説明できるかどうかがすべてです。100%事業用と主張するなら、私用車が別にある、車が会社の駐車場に常時置かれている、といった裏づけが必要になります。


まとめ

  • 社用車は分割して経費にするのが原則。普通車6年・軽自動車4年。
  • 4年落ちの普通車は耐用年数2年。法人の定率法なら1年で全額経費にできる。
  • ただし決算間際の購入は月割でほとんど効かない。買うなら期首寄りに。
  • 私的利用分は必ず外す。法人では社長への給与とみなされ、個人の税負担まで増える。
  • 効果の実態は税金の後払い。必要のない車を税金対策だけで買わない。
⚠️

税理士に確認すべきこと

・自社の決算月と納車予定から、初年度にいくら経費にできるか
・事業割合の決め方と、必要な記録のレベル感
・購入・ローン・リースのどれが自社の資金繰りに合うか
・少額資産の特例(30万円/40万円)の適用時期と自社の該当有無
これらは会社ごとに結論が変わります。最終判断は必ず顧問税理士にご相談ください。

参考(一次情報)

※ 中古資産の耐用年数の簡便法は耐用年数省令3条、役員給与に経済的利益を含む点は法人税法34条4項が根拠です。

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