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決算前の節税チェックリスト 法人が期限までにできること2026
節税対策 約11分で読めます

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決算前の節税チェックリスト 法人が期限までにできること2026

決算対策の相談は、たいてい遅すぎるタイミングで来る。「今期は利益が出そうなので、何かできませんか」——決算日の2週間前。

まず結論から。

決算対策は「何をやるか」より「いつまでにやるか」で決まる。決算日を過ぎてから増やせる経費は、ほとんど残っていない。

そしてもう1つ。2026年4月から、買った年に全額経費にできる金額のラインが30万円未満から40万円未満に上がった。 去年と同じ感覚で判断すると、使える枠を取りこぼす。

この記事は、決算日から逆算して「今日はまだ何が間に合うか」を判断できるように、国税庁の情報にもとづいて整理した。

ℹ️

情報の時点

本記事は2026年8月時点の情報です。金額・期限は国税庁「令和8年度 法人税関係法令の改正の概要」および各タックスアンサー・法人税基本通達で確認しています。適用できるかどうかは会社の状況で変わるので、実行前に必ず顧問税理士にご確認ください。


決算対策には「4つの締切」がある

節税策は、間に合う期限で4つに分かれる。自社の決算日が近いほど、使える手は減っていく。

締切代表的な手決算日直前でも間に合うか
決算日の3か月前まで設備投資、共済への加入、役員報酬の見直し✕ もう遅い
決算日まで40万円未満の資産を買って使い始める、1年分の前払い、交際費△ 内容による
決算日まで(意思決定のみ)決算賞与の「通知」○ 間に合う
決算日の後決算賞与の支払い、一部の届出書○ 間に合う

多くの社長が誤解しているのは1行目だ。設備投資や共済加入は「決めてから実行されるまで」に時間がかかるので、決算日の直前に思いついても物理的に間に合わない。


決算日までに間に合うこと

① 40万円未満の資産は、買った年に全額経費にできる

2026年4月1日以後に買ったものから、対象が「30万円未満」ではなく「40万円未満」に広がった。1年で合計300万円まで。

中小企業には、本来なら何年かに分けて経費にする資産でも、買った年に全額経費にできる特例がある。2026年(令和8年)4月1日以後に取得したものから、次のように変わった。

項目2026年3月31日まで2026年4月1日以後
1つあたりの金額30万円未満40万円未満
1年間の合計300万円まで300万円まで(変更なし)
対象になる会社従業員500人以下従業員400人以下
いつまで使えるか—2029年3月31日まで(3年延長)

出典:国税庁「令和8年度 法人税関係法令の改正の概要」、「No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」

パソコン、業務用の机、ソフトウェア、中古品も対象になる。青色申告であることと、申告書に明細を付けることが条件だ。

⚠️

「買った」だけでは経費にならない

この特例は「取得して事業の用に供した場合」に使える。決算日までに注文して支払いを済ませても、決算日時点で箱から出していない・設置していないなら、その期の経費にはならない。決算間際の駆け込みで一番多い失敗がこれ。

なお、金額のラインが40万円に上がったのはこの特例だけではない。中小企業経営強化税制の工具・器具備品も「30万円以上」から「40万円以上」に、中小企業投資促進税制の工具も同様に引き上げられた。減価償却そのものの考え方は「減価償却を活用した節税」にまとめている。

② 1年分をまとめて前払いする

支払った日から1年以内に受けるサービスの前払いなら、払った年の経費にしてよい。ただし毎年続けることが条件。

家賃、保守料、リース料、サブスクなど、継続的にサービスを受けるものが対象になる。決算月に翌年分の家賃を12か月分まとめて払えば、その期の経費が一気に増える。

使うときの条件は3つ。

  1. 1年以内に受けるサービスであること(13か月分はダメ)
  2. 実際に支払っていること(未払いのままはダメ)
  3. 毎期続けること(今年だけ、は認められない)

出典:法人税基本通達2-2-14(短期の前払費用)

⚠️

1回きりの節税にはならない

翌期は「翌々期分の前払い」をしないと、経費が前年より減ってしまう。初年度だけ効いて、2年目以降は効果が消える。しかも一度始めたら続けるのが条件なので、資金繰りに余裕がないと苦しくなる。「今期だけ利益が出た」という理由で始めるのは危険。

借入金の利息のように、収益と対応させる必要があるものはこの扱いを使えない。

③ 決算賞与は「決算日までに通知」すれば間に合う

支払いは決算日の後でもいい。ただし決算日までに全員へ金額を伝えていることが絶対条件。

決算日までに支払いが終わっていなくても、次の3つをすべて満たせば、その期の経費にできる。

  1. 各人別に金額を通知する。同時期に賞与を受けるすべての従業員に伝えること
  2. 通知した金額を、決算日の翌日から1か月以内に全員へ支払うこと
  3. 通知した期の決算で、その金額を費用として計上していること

出典:国税庁「No.5350 使用人賞与の損金算入時期」

⚠️

「支給日に在籍している人だけ」はNG

就業規則などで「支給日に在籍している従業員にだけ支払う」としている場合、その通知は上記の「通知」に該当しないとされている。決算賞与を当期の経費にするつもりなら、この点は事前に確認が必要。

なお、役員賞与は原則として経費にならない。決算賞与で節税できるのは従業員の分だけで、役員側は期首に決めた役員報酬の話になる。

④ 交際費は「800万円」か「50%」の有利なほうを選ぶ

中小企業は年800万円まで全額経費にできる。1人1万円以下の飲食費は、そもそも交際費に入れなくていい。

資本金1億円以下の会社は、次のどちらかを選べる。

  • 年800万円まで全額を経費にする
  • 接待飲食費の**50%**を経費にする

ほとんどの中小企業は前者が有利だ。さらに、1人あたり1万円以下の飲食費(社内の人だけの飲食は除く)は交際費の枠を使わずに経費にできる。この基準は2024年4月1日以後に支出した分から5,000円→1万円に上がっている。

出典:国税庁「No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算」

決算前にできるのは、枠が余っているかを確認して、必要な会食を前倒しする程度。1万円以下の枠を使うには参加者の氏名・人数・店名を残した書類の保存が必要になる。詳しくは「交際費の損金算入 上限800万円と1万円ルール」にまとめた。


決算日を過ぎても、まだ間に合うもの

決算日の後にできるのは「手続き」だけ。経費を増やす行為はもう終わっている。

できること期限
決算賞与の支払い決算日の翌日から1か月以内
少額減価償却資産の明細書(別表)の添付申告書の提出時
消費税の簡易課税を選ぶ届出(2割特例・3割特例を使った期の翌期)その課税期間の申告期限まで

3行目は2026年(令和8年)の改正で緩和された点だ。本来は「使いたい期が始まる前日まで」に出さなければならないが、2割特例・3割特例を使った期の翌期については、申告期限までに出せば間に合うようになった。消費税まわりの2026年の変更は「インボイス2割特例が2026年終了 3割特例と簡易課税の選び方」で詳しく扱っている。


やらないほうがいい「決算対策」

税金は減っても現金が減る。これでは意味がない。

消耗品の買いだめ

毎期おおむね一定量を買って、経常的に使っているものだけが「買った年の経費」になる。

決算前に文房具や備品を大量に買い込んでも、いつもの量を大きく超えていれば、使っていない分は在庫(貯蔵品)として資産に残る。経費にならない。

出典:法人税基本通達2-2-15(消耗品費等)

決算間際の中古車購入

経費にできる金額は、使い始めた月から決算日までの月数で割られる。

4年落ちの中古車は1年で全額経費にできると言われるが、それは期首に買って1年間使った場合の話。決算日の1か月前に納車されたら、経費になるのは12分の1だけだ。詳細は「社用車を経費にする条件」で計算例を出している。

「税金を減らすため」だけの支出

100万円使って法人税が約30万円減っても、手元の現金は70万円減っている。必要な支出を前倒しするのが決算対策であって、不要な支出を作ることではない。


決算日からの逆算チェックリスト

時期やること
決算3か月前利益の着地見込みを出す/設備投資の要否を決める/共済への加入を検討する
決算2か月前設備の発注・納品スケジュールを確定する/決算賞与の原資を決める
決算1か月前40万円未満の資産を発注し、決算日までに使い始められるかを確認する/前払いの契約内容を確認する
決算日まで決算賞与を各人別に通知する/交際費の枠を確認する/固定資産の実物を確認する
決算日〜1か月決算賞与を支払う
申告期限まで明細書を添付する/消費税の届出を確認する

この表の上から順に、間に合う手が減っていく。決算3か月前に一度シミュレーションしておくと、選択肢が最も多い状態で判断できる。


よくある質問

Q1. 決算日の1週間前です。今からできることはありますか?

限られますが、あります。決算賞与の通知(支払いは翌月でよい)、1年分の前払い(契約と支払いが済むもの)、すでに手元にある40万円未満の資産を使い始めるの3つは検討できます。逆に、設備投資や共済加入は間に合いません。

Q2. 40万円未満の特例は、個人事業主も使えますか?

使えます。青色申告をしている中小企業者等が対象で、個人事業主も含まれます。ただし2026年(令和8年)4月1日以後に取得したものから40万円未満になるので、取得日がいつかで判定が変わります。

Q3. 30万円の備品を10個買ったら、300万円すべて経費になりますか?

1つあたり40万円未満で、年間合計300万円までなので、計算上は収まります。ただし全部を決算日までに事業で使い始めている必要があります。倉庫に置いたままなら対象外です。

Q4. 前払いした家賃は、2年分まとめてもいいですか?

いいえ。支払った日から1年以内に受けるサービス分に限られます。24か月分をまとめて払うと、この扱いは使えず、期間に応じて配分することになります。

Q5. 決算賞与を通知したのに、支払いが1か月を過ぎたらどうなりますか?

その期の経費にはできず、実際に支払った期の経費になります。3つの条件はすべて満たす必要があり、1つでも欠けると当期には落とせません。

Q6. 経営セーフティ共済の掛金前払いは、まだ間に合いますか?

加入手続きから引き落としまでに時間がかかるため、決算直前の新規加入は現実的ではありません。すでに加入している場合の前納は選択肢になりますが、解約時の取扱いに注意点があります。「経営セーフティ共済で節税する」で確認してください。

Q7. 赤字の年に決算対策は必要ですか?

経費を増やす対策は不要です。むしろ利益を出す方向の検討(前払費用の扱いをやめる、資産計上できるものは資産にする)が必要になる場合があります。金融機関の評価にも影響するため、税理士に相談してください。


まとめ

ポイント内容
一番大事なこと決算日を過ぎたら、経費を増やす手はほぼ残らない
2026年の変更買った年に全額経費にできるラインが40万円未満に拡大(4月1日以後の取得分)
見落としやすい条件資産は「買った」だけでなく使い始めていることが必要
決算賞与決算日までに通知、翌日から1か月以内に支払い
前払い1年以内の分だけ。しかも毎年続ける必要がある
やってはいけない税金を減らすためだけの支出。現金のほうが多く減る

決算対策は、決算3か月前の一度のシミュレーションで結果がほぼ決まる。金額や適用条件は会社の状況で変わるので、実行前に必ず顧問税理士にご確認ください。

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