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株式会社 vs 合同会社 ── どちらを選ぶべき?違いを徹底比較
法人化 約10分で読めます

株式会社 vs 合同会社 ── どちらを選ぶべき?違いを徹底比較

法人設立は「株式会社」か「合同会社」の二択

日本で設立できる会社形態は4種類(株式会社、合同会社、合名会社、合資会社)あるが、実務上は株式会社か合同会社の二択

合名会社・合資会社は無限責任社員が必要なため、現在はほとんど設立されていない。

2025年の新設法人のうち、約25%が合同会社。この割合は年々増加しており、合同会社の認知度が高まっている。


基本情報の比較

項目株式会社合同会社
英語名Corporation / Inc.LLC(Limited Liability Company)
制度開始明治時代〜2006年(会社法施行)
出資者株主社員(出資者)
最低出資金1円〜1円〜
責任有限責任有限責任
代表者代表取締役代表社員
新設法人数(2025年)約7万社約4万社

設立費用の比較

費用項目株式会社合同会社
定款認証手数料30,000〜50,000円不要
定款の収入印紙40,000円(電子定款なら0円)40,000円(電子定款なら0円)
登録免許税150,000円(資本金の0.7%、最低15万円)60,000円(資本金の0.7%、最低6万円)
合計(電子定款)約200,000円約60,000円
合計(紙の定款)約240,000円約100,000円
💡

合同会社は約14万円安い

設立費用だけで比較すると、合同会社は株式会社より約14万円(電子定款の場合)安い。初期費用を抑えたいなら合同会社が有利。


運営コストの比較

項目株式会社合同会社
決算公告義務あり(官報掲載で約7.5万円/年)義務なし
役員の任期最長10年(任期ごとに重任登記が必要)任期なし
重任登記費用10,000円/回不要
法人住民税均等割最低70,000円/年最低70,000円/年
税理士費用月2〜5万円月2〜5万円

10年間のランニングコスト差

項目株式会社合同会社
決算公告(10年)約75万円0円
重任登記(10年で1回)1万円0円
差額約76万円お得

※実際には決算公告を行っていない中小企業も多いが、法律上は義務。


信用力・対外的なイメージ

項目株式会社合同会社
知名度◎(誰でも知っている)△(まだ認知度が低い)
取引先の印象○〜△
銀行融資
採用(人材確保)
BtoB取引
BtoC事業○(会社形態を気にしない消費者が多い)
⚠️

合同会社の認知度はまだ低い

「合同会社って何?」と聞かれるケースはまだある。特にBtoB取引で大企業と取引する場合、株式会社でないと信用力の面で不利になることがある。ただし、Amazon Japan、Apple Japan、Google Japanはいずれも合同会社。


意思決定の柔軟性

株式会社

  • 株主総会取締役会(設置する場合)で意思決定
  • 株主と経営者(取締役)が分離する構造(所有と経営の分離)
  • 株主が増えると意思決定が複雑化
  • 定款変更には株主総会の**特別決議(2/3以上の賛成)**が必要

合同会社

  • **社員(出資者)**が直接経営を行う
  • 所有と経営が一致するシンプルな構造
  • 定款の変更は原則社員全員の同意
  • 利益配分を出資比率と異なる割合に設定できる(定款で自由に決められる)
比較株式会社合同会社
経営の自由度△(法律の制約が多い)◎(定款で自由に設計)
利益配分出資比率に応じる自由に設定可能
組織変更株主総会の決議社員全員の同意
少人数での運営

資金調達の違い

項目株式会社合同会社
株式の発行○(新株発行で資金調達)×(株式がない)
ベンチャーキャピタル(VC)からの出資×(VCは株式会社にしか投資しない)
銀行融資
日本政策金融公庫
補助金・助成金
IPO(株式公開)×(上場できない)
ℹ️

将来VCから資金調達する可能性があるなら株式会社一択

スタートアップでVCからの資金調達を検討しているなら、最初から株式会社にすべき。合同会社から株式会社への変更(組織変更)は可能だが、手間とコストがかかる。


税金面の違い

法人税・消費税・住民税については、株式会社と合同会社で差はない

税目株式会社合同会社
法人税同じ同じ
法人住民税同じ同じ
法人事業税同じ同じ
消費税同じ同じ
源泉所得税同じ同じ
社会保険加入義務あり加入義務あり

税制上は全く同じ扱いなので、税金の観点ではどちらを選んでも差がない


合同会社から株式会社への変更

合同会社で設立して、後から株式会社に変更(組織変更)することは可能。

手続きの流れ

  1. 組織変更計画書の作成
  2. 総社員の同意
  3. 債権者保護手続き(官報公告 + 個別催告)
  4. 組織変更の登記

費用

項目金額
登録免許税(合同会社の解散)30,000円
登録免許税(株式会社の設立)30,000円
官報公告約30,000〜40,000円
司法書士報酬約5〜10万円
合計約10〜20万円

期間は最短でも約2ヶ月(債権者保護手続きに1ヶ月以上必要)。


事業別おすすめ

株式会社がおすすめなケース

  • BtoB取引がメイン – 大企業との取引では信用力が重要
  • 将来的に資金調達を予定 – VCからの出資、IPOを視野に入れている
  • 従業員を多く雇う予定 – 採用で「株式会社」の方が応募が集まりやすい
  • 事業承継を考えている – 株式の移転で事業を引き継ぎやすい

合同会社がおすすめなケース

  • 一人社長・少人数 – 運営のシンプルさが大きなメリット
  • 初期費用を抑えたい – 設立費用が約14万円安い
  • BtoC事業 – 消費者は会社形態を気にしない
  • 不動産投資・資産管理会社 – コストを抑えつつ法人の税メリットを活用
  • 副業の法人化 – マイクロ法人としてコストを最小化

有名企業の会社形態

合同会社の有名企業

会社名業種
アマゾンジャパン合同会社EC・クラウド
Apple Japan合同会社テクノロジー
グーグル合同会社テクノロジー
ユニバーサル ミュージック合同会社エンタメ
P&Gジャパン合同会社消費財

これらは外資系企業の日本法人で、本国の親会社が100%出資しているため、株式を発行する必要がなく、合同会社を選択している。


定款の違い

項目株式会社合同会社
認証公証人の認証が必要不要
記載事項法律で厳格に定められている比較的自由度が高い
利益配分出資比率に応じる自由に設定可能
持分の譲渡株式の自由譲渡が原則社員全員の同意が必要

判断フローチャート

以下の質問にYes/Noで答えると、おすすめが見えてくる。

  1. 将来VCからの資金調達やIPOを考えている? → Yes: 株式会社

  2. 大企業とのBtoB取引がメイン? → Yes: 株式会社

  3. 従業員を10人以上雇う予定? → Yes: 株式会社

  4. 上記すべてNo → 設立費用を抑えたい? → Yes: 合同会社

  5. 一人or少人数で事業を行う? → Yes: 合同会社


よくある質問(FAQ)

Q1. 合同会社は恥ずかしくないですか?

全く恥ずかしくない。Apple、Amazon、Googleの日本法人が合同会社。ビジネスの実態と信用は会社形態ではなく、事業内容と実績で決まる。

Q2. 合同会社は銀行口座を開設しにくいですか?

株式会社と変わらない。銀行口座の開設審査は、会社形態よりも事業内容・所在地・代表者の信用情報が重視される。

Q3. 税金は本当に同じですか?

完全に同じ。法人税法上、株式会社も合同会社も「普通法人」として同じ扱い。税率、控除、特例すべて同じ。

Q4. 一人で株式会社は設立できますか?

できる。取締役1名で設立可能。取締役会や監査役は任意で設置。

Q5. 後から株式会社に変更するのは大変ですか?

手続きは可能だが、2ヶ月程度の期間と10〜20万円の費用がかかる。最初から株式会社にしておいた方がスムーズな場合もある。

Q6. 代表取締役と代表社員、名刺にはどう書く?

株式会社は「代表取締役」、合同会社は「代表社員」。名刺には「CEO」や「代表」と書くケースも多い。法律上の正式名称でなくても名刺には自由に記載できる。

Q7. 合同会社の社員が1人だけの場合、死亡するとどうなる?

社員が全員いなくなると、合同会社は解散する。相続人が社員の持分を承継できるよう、定款に定めておくことが重要。


まとめ

判断基準おすすめ
信用力重視・大企業との取引株式会社
資金調達・IPOの可能性株式会社
コスト重視・少人数運営合同会社
不動産・資産管理合同会社
迷ったら株式会社(後から変更の手間がないため)

どちらを選んでも、税金は同じ、有限責任も同じ。違いは主に「設立・運営コスト」「信用力」「意思決定の柔軟性」の3点。

💡

迷ったら株式会社が無難

将来の事業展開が読めない場合は、株式会社を選んでおくのが無難。合同会社→株式会社への変更は手間がかかるが、逆はできない。初期費用の差14万円で将来の選択肢が広がると考えれば、悪くない投資だ。

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