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法人設立の手順 ── 合同会社を自分で作る全ステップ
法人化 約15分で読めます

法人設立の手順 ── 合同会社を自分で作る全ステップ

合同会社なら自分で設立できる

合同会社の設立は、株式会社と比べて手続きが少なく、自分で全てできます。専門家に頼むと10〜20万円かかりますが、自分でやれば実費(約6〜8万円)だけで済みます。

この記事では、法人設立の全ステップを、初めての方でも迷わないように順番に解説します。株式会社で異なる部分も併記しますので、どちらの形態を選ぶ場合にも参考になります。


設立の全体スケジュール

Step 1

基本事項を決める

商号、事業目的、本店所在地、資本金、決算月を決定。全ての手続きの基盤になる。

1〜2日
Step 2

定款を作成する

会社のルールブック。電子定款にすれば印紙代4万円が不要に。

1〜3日
Step 3

資本金を払い込む

代表社員個人の銀行口座に資本金を入金し、払込証明書を作成。

1日
Step 4

登記申請

法務局に書類を提出。登録免許税6万円を納付。申請日が会社設立日になる。

申請後1〜2週間で完了
Step 5

各種届出

税務署、年金事務所、都道府県・市区町村に届出。期限があるので要注意。

設立後1〜2週間
Step 6

銀行口座開設

法人口座を開設。審査に1〜2週間かかるため早めに申し込む。

1〜3週間
Step 7

会計・経理の体制構築

会計ソフトの導入、税理士の選定、経理フローの整備。

1〜2週間

Step 1: 基本事項を決める

法人設立の最初のステップは、会社の基本情報を決めることです。ここで決めた内容が定款と登記に反映されます。

決めるべき7項目

項目決めること注意点
商号(会社名)「合同会社〇〇」の形式同一住所に同一商号は不可。事前に法務局で調査
事業目的定款に記載する事業内容将来やりたい事業も入れておく。許認可に関わる表現に注意
本店所在地会社の住所自宅OK。バーチャルオフィスも可。賃貸の場合は大家の許可を確認
資本金出資する金額100〜300万円がおすすめ。1,000万円未満で消費税免税
社員構成出資者(社員)と代表社員合同会社では出資者=社員。最低1名で設立可能
決算月事業年度の終了月設立月から最も遠い月が有利。繁忙期は避ける
資本金の出資割合複数出資者がいる場合利益配分に影響。定款で自由に設定可能

商号(会社名)を決めるポイント

  • 「合同会社」は前後どちらでもOK(例:「合同会社ABC」「ABC合同会社」)
  • 使える文字: 日本語、ローマ字、アラビア数字、一部の記号(&、’、,、-、.、・)
  • 同一住所に同じ商号の会社は登記できない
  • 商標登録されている名称は避ける(商標権侵害のリスク)
  • ドメイン名が取得できるかも事前に確認

事業目的の書き方

事業目的は広めに記載しておくのがポイントです。将来やる可能性がある事業も入れておきましょう。後から追加するには定款変更と登記変更(登録免許税3万円)が必要になります。

一般的な記載例:

  1. ウェブサイトの企画、制作及び運営
  2. インターネットを利用した各種サービスの提供
  3. コンサルティング業務
  4. 前各号に附帯又は関連する一切の事業
💡

決算月の選び方が重要

設立月から最も遠い月を決算月にすると、消費税の免税期間を最大化できます。例えば4月設立なら3月決算。1月設立なら12月決算にするのがベストです。また、売上が集中する月を避けると、決算作業が楽になります。


Step 2: 定款を作成する

定款は「会社のルールブック」です。合同会社は株式会社と異なり、公証人の認証が不要。自分で作成するだけでOKです。

定款に記載する項目

区分記載項目必須/任意
絶対的記載事項商号、事業目的、本店所在地、社員の氏名・住所、社員の出資の目的及びその価額、社員の全部が有限責任である旨必須
相対的記載事項業務執行社員の定め、代表社員の定め、利益の配分割合記載しないと法律の規定が適用
任意的記載事項事業年度、社員の入退社手続き、解散事由記載は自由

電子定款のメリット

紙の定款電子定款
収入印紙代4万円0円
作成方法印刷して製本PDFに電子署名
認証(合同会社)不要不要

電子定款を無料で作成できるサービス:

  • freee会社設立 – 質問に答えるだけで定款が自動生成
  • マネーフォワード会社設立 – 同様に自動生成
  • 弥生のかんたん会社設立 – 弥生ユーザーにおすすめ
ℹ️

自分で電子署名する場合

マイナンバーカードとICカードリーダーがあれば、自分で電子署名も可能です。ただし、Adobe Acrobatの有料版やJPKI利用者クライアントソフトの設定が必要で、手間がかかります。設立サービスを利用するほうが圧倒的に楽です。


Step 3: 資本金の払い込み

手順

  1. 代表社員個人の銀行口座に、資本金として定めた金額を入金
  2. 通帳の表紙、1ページ目(口座名義・口座番号)、入金が記載されたページをコピー
  3. ネットバンキングの場合は取引明細を印刷
  4. 払込証明書を作成(書式はネット上にテンプレートあり)

注意点

  • 入金日は定款作成日以降でなければならない
  • 入金名義は代表社員の個人名
  • 既に口座にある残高を資本金に充てる場合は、一度引き出して入金し直すのが確実
  • 法人口座はまだ存在しないので、個人口座への入金でOK
⚠️

払込証明書は登記に必須

払込証明書がないと登記申請ができません。通帳のコピーは表紙・1ページ目・入金ページの3枚が必要です。ネットバンキング専用口座の場合は、取引明細のスクリーンショットやPDFを印刷して対応します。


Step 4: 登記申請

登記申請日が会社の設立日になります。日付にこだわりがある場合(例: 大安、月初など)は逆算してスケジュールを組みましょう。

必要書類一覧

書類取得・作成方法
合同会社設立登記申請書法務局HPからダウンロード
定款Step 2で作成
代表社員の印鑑届出書法務局HPからダウンロード
払込証明書Step 3で作成
代表社員就任承諾書テンプレートで作成
本店所在地決定書定款で番地まで記載していない場合
印鑑カード交付申請書登記完了後に提出

登録免許税

法人形態計算方法最低額
合同会社資本金 × 0.7%6万円
株式会社資本金 × 0.7%15万円

資本金857万円以下の合同会社なら、登録免許税は最低額の6万円です。

申請方法は3つ

方法メリットデメリット
窓口申請その場で不備を指摘してもらえる法務局に行く必要あり
郵送申請法務局に行かなくてよい不備があると返送されて時間がかかる
オンライン申請自宅から完結登記・供託オンラインシステムの操作が必要
💡

初めてなら窓口申請がおすすめ

初めて設立登記をする場合は、管轄の法務局に直接持参するのが安心です。書類に不備があってもその場で修正方法を教えてもらえます。事前に法務局の「登記相談」を予約しておくとスムーズです。

登記完了後に取得するもの

書類費用用途
登記事項証明書(謄本)600円/通銀行口座開設、届出に必要。3〜5通取得
印鑑証明書450円/通銀行口座開設等に必要。2〜3通取得

Step 5: 設立後の届出

法人設立後、以下の届出が必要です。期限があるものが多いので、設立後すぐに着手してください。

税務関係の届出

届出先届出書類期限重要度
税務署法人設立届出書設立後2ヶ月以内★★★
税務署青色申告承認申請書設立後3ヶ月以内 or 最初の事業年度終了日のいずれか早い日★★★★★
税務署給与支払事務所等の開設届出書設立後1ヶ月以内★★★
税務署源泉所得税の納期の特例の承認申請書できるだけ早く★★★★
都道府県税事務所法人設立届出書設立後1ヶ月以内(自治体により異なる)★★★
市区町村法人設立届出書設立後1ヶ月以内(自治体により異なる)★★★
⚠️

青色申告の届出は絶対に忘れない

青色申告承認申請書は最も重要な届出です。これを出さないと、赤字の繰越(10年)、少額減価償却資産の特例(30万円未満の一括経費)など多くの優遇措置が使えません。期限を過ぎると1年間青色申告ができなくなります。

源泉所得税の納期の特例

通常、源泉徴収した所得税は翌月10日までに納付する必要がありますが、「納期の特例」の届出をすると、年2回(1月と7月)にまとめて納付できます。従業員10人未満の会社が対象です。

区分納付時期
通常毎月(給与支払翌月10日まで)
納期の特例年2回(1〜6月分→7月10日、7〜12月分→翌年1月20日)

社会保険の届出

届出先届出書類期限
年金事務所健康保険・厚生年金保険 新規適用届設立後5日以内
年金事務所被保険者資格取得届設立後5日以内
年金事務所被扶養者(異動)届扶養家族がいる場合、5日以内
ℹ️

社長一人でも社会保険は加入必須

法人は従業員がいなくても、役員報酬を受け取る役員は社会保険(健康保険・厚生年金)への加入義務があります。ただし、役員報酬が0円の場合は加入できません。

労働保険の届出(従業員を雇う場合)

届出先届出書類期限
労働基準監督署保険関係成立届雇用後10日以内
労働基準監督署概算保険料申告書雇用後50日以内
ハローワーク雇用保険適用事業所設置届雇用後10日以内
ハローワーク雇用保険被保険者資格取得届雇用翌月10日まで

Step 6: 銀行口座の開設

法人の銀行口座は、個人口座と比べて審査が厳しいです。特にメガバンクは審査基準が高いため、複数の銀行に申し込むのがおすすめです。

銀行別の特徴

銀行審査難易度開設日数おすすめ度
メガバンク(三菱UFJ、三井住友、みずほ)高い2〜4週間△(最初は難しい)
地方銀行・信用金庫普通1〜3週間
ネット銀行(GMOあおぞら、住信SBI)やや低い1〜2週間
ゆうちょ銀行やや低い2〜3週間

口座開設に必要な書類

  • 登記事項証明書(発行後3ヶ月以内)
  • 法人の印鑑証明書
  • 代表者の本人確認書類(免許証、マイナンバーカード等)
  • 法人の実印
  • 定款のコピー
  • 事業内容がわかる資料(会社案内、ウェブサイトURL等)
💡

口座開設を断られないために

以下の点に注意すると審査が通りやすくなります。

  • 本店所在地がバーチャルオフィスではなく実態のある住所
  • 資本金が低すぎない(最低50万円以上が望ましい)
  • 事業内容が具体的かつ明確
  • 会社のウェブサイトがある
  • 代表者の本人確認がスムーズ

Step 7: 会計・経理の体制構築

法人設立直後から、会計帳簿の記帳義務が始まります。

会計ソフトの選択

ソフト月額特徴
freee会計2,380円〜UIがわかりやすい。初心者向け
マネーフォワードクラウド2,980円〜機能が豊富。銀行連携が強い
弥生会計オンライン28,600円/年〜老舗の安心感。税理士との連携に強い

税理士の選び方

確認ポイント理由
料金体系が明確か追加料金で予算オーバーにならないため
クラウド会計に対応しているかデータ共有がスムーズ
業種の経験があるか業界特有の節税・処理を知っている
レスポンスの速さ決算直前に連絡が取れないのは致命的
相性長期間の付き合いになるため

費用まとめ ── 合同会社を自分で設立

項目費用
登録免許税60,000円
定款印紙代(電子定款)0円
登記事項証明書(5通)3,000円
印鑑証明書(3通)1,350円
法人実印セット5,000〜10,000円
合計約7〜8万円

株式会社を設立する場合の追加手順

株式会社の場合、合同会社と異なる点は以下の通りです。

項目合同会社株式会社
定款認証不要公証人の認証が必要(3〜5万円)
登録免許税6万円15万円
発起人会議事録不要必要
取締役の就任承諾書不要必要
役員の印鑑証明書代表社員のみ取締役全員分
設立時取締役の調査報告書不要現物出資がある場合は必要

FAQ ── よくある質問

Q1. 法人設立にどれくらいの期間がかかりますか?

準備開始から登記完了まで、合同会社で2〜3週間、株式会社で3〜4週間が目安です。登記申請後、法務局での処理に1〜2週間かかります。オンライン申請を利用すると、若干早くなる場合があります。

Q2. 自宅を本店所在地にして大丈夫ですか?

法律上は問題ありません。ただし、賃貸住宅の場合は賃貸借契約書で「事業用使用不可」となっていないか確認してください。マンションの管理規約で禁止されている場合もあります。なお、自宅を本店にすると家賃の一部を経費にできるメリットもあります。

Q3. 一人で合同会社を設立して、後から社員を追加できますか?

はい、後から社員(出資者)を追加できます。ただし、定款変更と出資の手続きが必要です。追加する社員が出資する金額に応じて資本金が増加し、登記変更(登録免許税3万円〜)も必要になります。

Q4. 設立後、最初にやるべきことの優先順位は?

  1. 税務署への届出(特に青色申告承認申請書)
  2. 年金事務所への届出(社会保険の新規適用、期限5日以内)
  3. 銀行口座の開設申し込み(審査に時間がかかるため早めに)
  4. 会計ソフトの導入と初期設定
  5. 税理士の選定・契約

Q5. 決算月は何月がおすすめですか?

設立月から最も遠い月がおすすめです。これにより消費税の免税期間を最大化できます。また、3月・12月は多くの企業が決算月にしているため、税理士が繁忙期になり対応が遅れる可能性があります。避けられるなら避けましょう。

Q6. 登記申請でよくあるミスは?

  • 商号に使えない記号を使っている
  • 事業目的の文末が「〜すること。」になっていない
  • 印鑑届出書に押印した印鑑と登記申請書の印鑑が異なる
  • 払込証明書の日付が定款作成日より前
  • 資本金の額が定款と申請書で一致していない

ミスがあると「補正」(修正指示)が出て、再度法務局に出向く必要があります。提出前に法務局の登記相談で書類チェックを受けると安心です。


まとめ

合同会社の設立は、手順通りに進めれば自分一人で完了できます。費用は約7〜8万円、期間は2〜3週間が目安です。

最も重要なポイントは以下の3つです。

  1. 設立前の準備を丁寧に(商号調査、事業目的の検討、決算月の選定)
  2. 設立後の届出期限を絶対に守る(特に青色申告承認申請書と社会保険)
  3. 銀行口座開設は早めに動く(審査に時間がかかる)

法人化の判断については「法人化すべきタイミング」、設立費用の詳細は「法人設立にかかる費用」をご覧ください。設立後は「役員報酬の決め方」が最初の重要な意思決定です。

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