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経営者の税金カレンダー ── 月別やることリスト
経理・確定申告 約15分で読めます

経営者の税金カレンダー ── 月別やることリスト

税務手続きには全て期限がある。期限を1日でも過ぎれば、加算税・延滞税のペナルティが発生し、場合によっては控除額が大幅に減額される。この記事では、個人事業主と法人それぞれの税金カレンダーを月別にまとめ、各手続きの具体的な内容・注意点・ペナルティまで徹底解説する。このカレンダーを手元に置いておけば、「うっかり忘れ」を防げるはずだ。


なぜ税金カレンダーが必要なのか

期限を過ぎたときのペナルティ

税務手続きの期限を守らないと、以下のペナルティが発生する。

ペナルティの種類内容税率
無申告加算税申告期限に申告しなかった場合本税の15〜20%(50万円超の部分は20%)
過少申告加算税申告した税額が少なかった場合本税の10〜15%
延滞税税金の納付が遅れた場合年2.4%〜8.7%(2026年)
重加算税意図的な隠蔽・仮装の場合本税の35〜40%
青色申告控除の減額確定申告期限に遅れた場合65万円→10万円に激減
⚠️

青色申告の65万円控除が10万円に

確定申告の期限(3月15日)を1日でも過ぎると、青色申告特別控除が65万円→10万円に激減する。税率20%の人なら11万円の損失。カレンダー管理は必須。


個人事業主の税金カレンダー

1月 ── 年明けすぐに動く

期限手続き対象者内容
1月10日源泉所得税の納付(月次)源泉徴収義務者12月分の源泉所得税を納付
1月20日源泉所得税の納付(半年特例)納期特例の適用者7〜12月分を一括納付
1月31日法定調書の提出給与支払者支払調書・源泉徴収票を税務署に提出
1月31日給与支払報告書の提出給与支払者従業員の住所地の市区町村に提出
1月31日償却資産の申告固定資産所有者事業用の固定資産を市区町村に申告
💡

源泉所得税の納期の特例

従業員10人未満の事業者は「納期の特例」を申請すれば、源泉所得税の納付を年2回(1月と7月)にまとめられる。毎月の納付が面倒な場合は申請を検討しよう。

1月にやるべきこと

  • 前年の帳簿を締める
  • 決算整理仕訳を入力(減価償却、家事按分など)
  • 確定申告の準備を開始

2月 ── 確定申告の準備に集中

期限手続き内容
2月16日〜3月15日所得税の確定申告期間確定申告書の受付開始(e-Taxは1月から送信可能)

2月にやるべきこと

  • 決算書(損益計算書・貸借対照表)の作成
  • 各種控除の証明書を集める(生命保険料控除、社会保険料など)
  • 確定申告書を作成(会計ソフトで自動生成)
  • 2月中に申告を完了させるのが理想

3月 ── 最も重要な月

期限手続き対象者ペナルティ
3月15日所得税の確定申告・納付全ての個人事業主無申告加算税15〜20%、青色控除が10万円に
3月15日青色申告承認申請書の提出翌年から青色にしたい人1年間青色申告できない
3月15日専従者給与の届出家族に給与を払いたい人その年の専従者給与が認められない
3月31日消費税の確定申告・納付課税事業者無申告加算税 + 延滞税
⚠️

3月15日は1年で最も重要な日

確定申告の期限であると同時に、青色申告の届出期限、専従者給与の届出期限でもある。この1日を逃すと、節税の機会を丸1年失う。

納付方法の選択肢

方法特徴引き落とし日
振替納税口座引き落とし。最も楽4月下旬(所得税)/ 4月末(消費税)
e-Tax(ダイレクト納付)ネットバンキングで即日納付即日
クレジットカードポイントが貯まるが手数料ありカードの引き落とし日
コンビニ納付30万円以下即日
窓口納付金融機関 or 税務署即日
💡

振替納税がおすすめ

振替納税を選べば、所得税の引き落としが4月下旬になるため、約1ヶ月の猶予が得られる。手続きは初回のみ。確定申告書と一緒に振替依頼書を提出するだけ。


4月 ── 新年度のスタート

期限手続き内容
4月下旬振替納税の引き落とし(所得税)振替納税を選択した場合
4月末振替納税の引き落とし(消費税)振替納税を選択した場合
4月末固定資産税の第1期市区町村から届く納税通知書で納付

4月にやるべきこと

  • 新年度の経理体制を確認
  • 会計ソフトの年度更新
  • 前年の反省を踏まえた節税計画の策定

5月 ── 自動車税

期限手続き内容
5月31日自動車税の納付都道府県税事務所から届く納税通知書で納付
5月31日軽自動車税の納付市区町村から届く納税通知書で納付

事業用車両の自動車税は「租税公課」として経費になる。プライベート兼用なら按分。


6月 ── 住民税の確認

期限手続き内容
6月中旬住民税の通知前年の所得に基づく住民税額の通知が届く
6月30日住民税の第1期一括納付 or 4回分割の第1期

住民税の納付スケジュール

納付期限
第1期6月30日
第2期8月31日
第3期10月31日
第4期翌年1月31日

7月 ── 源泉所得税の納付

期限手続き対象者内容
7月10日源泉所得税の納付源泉徴収義務者1〜6月分を一括納付(納期特例の場合)
7月31日固定資産税の第2期固定資産所有者第2期分の納付

8月 ── 個人事業税

期限手続き内容
8月31日個人事業税の第1期都道府県から届く納税通知書で納付
8月31日住民税の第2期第2期分の納付
ℹ️

個人事業税とは

個人事業税は、事業所得が290万円を超える場合に課税される都道府県税。税率は業種によって3%〜5%。確定申告をしていれば自動的に計算され、通知が届く。別途申告の必要はない。


9月〜10月 ── 比較的穏やかな時期

期限手続き内容
10月31日住民税の第3期第3期分の納付

この時期は税務手続きが少ない。年末に向けた節税対策の検討を始めるのに最適な期間


11月 ── 節税対策のラストチャンス

期限手続き内容
11月30日個人事業税の第2期第2期分の納付

11月にやるべきこと(節税対策)

アクション内容効果
年間の利益を概算で把握会計ソフトで現時点の損益を確認節税の必要性を判断
経営セーフティ共済の前払い翌年分を前払い(最大240万円)今期の経費に計上
小規模企業共済の掛金変更掛金の増額を検討所得控除の増加
設備投資の前倒し来年買う予定のPC等を今年中に購入今期の経費に計上
不良在庫の処分売れない在庫を廃棄棚卸資産の評価損を計上
💡

節税対策は11月がリミット

12月に入ってからでは間に合わない手続きもある。年間の利益見込みを11月中に確認し、必要な対策を実行すること。


12月 ── 年末の締め

期限手続き対象者内容
12月中年末調整従業員がいる事業者従業員の所得税を精算
12月25日固定資産税の第4期固定資産所有者第4期分の納付
12月31日棚卸し在庫がある事業者期末在庫の金額を確定
12月31日ふるさと納税の期限控除を受けたい人年内に寄付を完了

12月にやるべきこと

  • 帳簿の最終確認
  • 棚卸し(在庫がある場合)
  • 来年の経理体制の見直し
  • 確定申告に向けた書類の整理

法人の税金カレンダー(3月決算の場合)

法人は決算月によってスケジュールが異なる。ここでは最も多い3月決算の法人を例に解説する。

3月

決算月

帳簿の締め、棚卸し、経費の最終確認。決算前の節税対策(設備投資の前倒し、経営セーフティ共済の前払い等)。

4月〜5月

決算書・申告書の作成

決算書(貸借対照表・損益計算書)を作成。法人税・消費税の申告書を準備。

5月31日

法人税・消費税の申告・納付期限

法人税、法人住民税、法人事業税、消費税の申告と納付。決算日から2ヶ月以内。

7月10日

源泉所得税の納付(半年分)

1〜6月分の源泉所得税を一括納付(納期特例の場合)。

11月30日

中間申告・納付

前期の法人税が20万円を超える場合、中間申告が必要。事業年度開始から6ヶ月後の2ヶ月以内。

12月

年末調整・賞与

従業員の年末調整、賞与の支給。

1月31日

法定調書・給与支払報告書の提出

支払調書、源泉徴収票を税務署に提出。給与支払報告書を市区町村に提出。

法人税の税率(2026年4月時点)

区分税率備考
中小法人(年800万円以下の部分)15%軽減税率。2027年3月末まで延長
中小法人(年800万円超の部分)23.2%基本税率
大法人23.2%基本税率
⚠️

2026年4月〜 防衛特別法人税の導入

2026年4月1日以降に開始する事業年度から、防衛特別法人税が課される。基準法人税額から500万円を控除した金額の**4%**が追加課税される。多くの中小法人は控除額の範囲内に収まるが、法人税額が500万円を超える企業(概ね課税所得2,200万円超)は影響がある。

法人の中間申告

項目内容
対象前期の法人税額が20万円を超える法人
期限事業年度開始から6ヶ月後の2ヶ月以内
方法仮決算方式 or 予定申告方式(前期の半額)
忘れた場合予定申告として自動的に課税される

消費税のスケジュール

課税事業者の判定

条件課税事業者になるか
基準期間(2年前)の課税売上高が1,000万円超課税事業者
特定期間(前年上半期)の課税売上高が1,000万円超課税事業者
インボイス登録をした免税事業者課税事業者(2割特例あり)
上記のいずれにも該当しない免税事業者

消費税の申告・納付期限

事業者申告期限
個人事業主翌年3月31日
法人事業年度終了後2ヶ月以内

消費税の中間納付

前年の消費税額に応じて、中間納付の回数が変わる。

前年の消費税額中間納付の回数
48万円以下なし
48万円超〜400万円以下年1回
400万円超〜4,800万円以下年3回
4,800万円超年11回(毎月)

届出書の提出期限一覧

各種届出書の提出を忘れると、節税の機会を失う。主要な届出と期限をまとめた。

届出書提出期限効果
開業届開業から1ヶ月以内開業の届出(青色申告の前提)
青色申告承認申請書開業から2ヶ月以内 or 前年3/15青色申告の適用
専従者給与の届出その年の3/15まで家族への給与を経費化
消費税課税事業者届出書基準期間の翌期開始日前日まで課税事業者への切替
消費税簡易課税制度選択届出書適用を受ける年の前年12/31まで簡易課税の適用
源泉所得税の納期特例申請随時(適用は届出翌月から)源泉税の半年まとめ納付
適格請求書発行事業者の登録申請随時インボイスの発行

期限を守るための5つの仕組み

1. 会計ソフトのリマインダー機能を使う

freee、マネーフォワード、弥生会計にはリマインダー機能がある。申告期限の1ヶ月前、1週間前にアラートが届く設定にしておこう。

2. Googleカレンダーに年間の期限を登録

年初に、全ての税務期限をGoogleカレンダーに登録しておく。1週間前と前日にリマインダーを設定。

3. 税理士との顧問契約

税理士に月次または年次で依頼していれば、期限管理は税理士がやってくれる。自分で管理する自信がなければ、最も確実な方法。

4. e-Taxの活用

e-Taxならオンラインで24時間提出可能。期限日の深夜23時59分までに送信すれば間に合う。郵送だと消印が必要で時間的な余裕がない。

5. 「2月中に確定申告を完了」をルール化

期限ギリギリにやろうとするから遅れる。自分ルールとして「2月中に完了」を設定し、3月は予備期間と考える。


よくある質問(FAQ)

Q1: 確定申告を忘れたらどうすればよいですか?

気づいた時点で、できるだけ早く申告・納付すること。期限後申告になるが、早ければ早いほどペナルティは軽くなる。期限から1ヶ月以内に自主的に申告し、かつ全額を納付すれば、無申告加算税が免除される場合がある。

Q2: 確定申告の期限延長はできますか?

個人の所得税の確定申告は、原則として延長できない。ただし、災害等のやむを得ない理由がある場合は、「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を提出すれば延長が認められることがある。法人の場合は、「申告期限の延長の特例」を事前に申請すれば、1ヶ月の延長が可能。

Q3: 消費税の課税事業者になったかどうかはいつわかりますか?

基準期間(個人は2年前、法人は2期前)の課税売上高が1,000万円を超えた時点で、翌々年(翌々期)から課税事業者になることが確定する。税務署から「消費税課税事業者届出書」の提出を求める通知が届くこともあるが、届かなくても自分で判断する必要がある。

Q4: 法人の決算月はいつにすべきですか?

法人の決算月は自由に設定できる。一般的に、繁忙期を避ける、設立月の前月にする、といった考え方がある。3月決算が最も多いが、個人事業主からの法人化なら12月や9月決算を選ぶケースも多い。決算月の変更は定款変更と届出で可能。

Q5: 予定納税とは何ですか?

前年の所得税が15万円以上だった場合、翌年の7月と11月に、前年の所得税の3分の1ずつを予定納税する制度。これは「前払い」であり、確定申告で精算される。業績が悪化して所得が減る見込みなら、「予定納税額の減額申請書」を提出して減額できる。

Q6: 税金の納付が難しい場合はどうすればよいですか?

税務署に「換価の猶予」や「納税の猶予」を申請できる。事業の継続が困難な場合、1年以内の分割納付が認められることがある。放置すると差し押さえ等の滞納処分に進むため、払えないと分かった時点で早めに税務署に相談すること。延滞税の一部が免除される場合もある。

Q7: インボイス制度の2割特例はいつまでですか?

免税事業者がインボイス登録をして課税事業者になった場合に使える「2割特例」は、2026年9月30日を含む課税期間までが適用期限。個人事業主なら2026年分(2026年1月〜12月)まで。それ以降は通常の計算方法(原則課税 or 簡易課税)で消費税を計算する必要がある。


まとめ

税金カレンダーの管理は、節税と同じくらい重要だ。期限を守るだけで無駄な出費(ペナルティ)を防ぎ、控除を最大限に活用できる。

個人事業主の最重要日程:

  • 3月15日 ── 確定申告、青色申告届出、専従者給与届出
  • 3月31日 ── 消費税の申告
  • 7月10日 ── 源泉所得税の納付(半年特例)
  • 11月 ── 年末に向けた節税対策のラストチャンス

法人の最重要日程:

  • 決算日から2ヶ月以内 ── 法人税・消費税の申告・納付
  • 事業年度開始から8ヶ月以内 ── 中間申告

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